組織において電話を使用したいという要望はIT化した現在でも健在です。

自宅に引く電話とは異なり、組織においては転送保留、留守番電話機能、複数の電話回線などの要件が必要となってきます。 これらを実現するためにはPBXは必須ですが、今までは自社にPBXを設置することが多くメンテナンスがたいへんでした。 そのような課題を解決するために最近ではマネージドなクラウド版のPBXが誕生してきました。

今回はクラウドPBXを選定するためにどんなことをしたかを備忘のためにまとめました。 結局どれを選択したの?ということはスコープからはずしています。あしからず。 また、この選定基準に関しては異論があるかもしれませんが、あくまで個人的なものであると思っていただければと思います。

この記事はFOLIO Advent Calendar 2019の12月11日の代打記事でもあります。

そもそもPBXとは

PBXとはPrivate Branch Exchangeの略であり、構内交換機のことを示します。回線切替機、内線集約装置、内線交換機とも呼ばれることがあります。 もう少し噛み砕くと、組織の内部に置かれた電話回線の交換機のことで、内線電話の接続をコントロールするものです。

会社の代表電話に電話をかけると、組織が管理するPBXにつながり、内線へと転送されみなさんが電話に出たり通話を保留にできたりします。

クラウドPBXとは

年々、PBXに求める要件が増加しており、それに伴い組織内でそれらを実現するには管理コストが大きくなってしまう傾向にあります。 挙げるときりがないですが、たとえば、

  • 休日設定
  • ウィスパー
    • 電話の接続開始時に、自動音声により接続先などの情報を伝える機能
  • チューター
    • 電話オペレーターの通話中に、スーパーバイザーが電話オペレーターにアドバイスをする場合、通話に割り込んで片方の話者だけに声を聞かせられる機能
  • 電話会議

などがあります。このような要件や課題を解決するために、クラウド版のPBXが誕生してきました。 もう少し噛み砕くと、PBXをインターネット上から利用できるサービスであると考えてよいです。

オンプレミスなPBXと比べると、

  • 初期費用の削減
  • 運用コストの削減
  • 工事が不要
  • オフィスの場所にとらわれない
    • リモートワーク社員でも受け取れる
    • 引っ越し時のコスト削減
  • 拡張が容易

などのメリットがあります。

オンプレミスなPBXの場合、設定を変更したい度に業者を呼んで設定変更するということもザラですが、これでは管理やメンテナンスが容易ではありません。

クラウドPBXを受け取れる電話機

クラウドPBXはインターネット接続を利用するため、以下のような電話機が利用できます。

  1. SIP端末
  2. ソフトフォン
  3. スマートフォン

SIP端末

SIPとはSession Initiation Protocolの略であり、音声や映像などが交換可能なプロトコルです。 広く知られているもとのとていは、IP電話がこれにあたります。 ここでは、SIP機能のみを有している物理的な端末のことを示しています。

ソフトフォン

専用の機器を使わずに一般的なコンピュータでインターネット経由の電話を可能とするソフトウェアのことです。(Wikipdeiaより) 先程挙げたIP電話もソフトフォンも一種です。 ソフトフォンを使用する場合、相手の声の聞き取りのためにスピーカーやヘッドフォン、自分の声を発信するためにマイクが別途必要となります。

スマートフォン

スマートフォンの場合、キャリアが提供するIP電話受け取りサービスやSIP通信が可能なソフトフォンを使用してクラウドPBXを使用できます。

クラウドPBXの選定基準

大きく以下を検討するのがよいと考えています。

  1. 通話の品質
  2. セキュリティ
  3. 料金
  4. 機能の豊富さ
  5. サポートの有無

もちろんコールセンターにも使いたいなど、どれだけ電話が業務クリティカルかによって要件が変わってきますが、今回は組織内の代表電話など業務で使用するケースを想定しています。

通話の品質

これが一番大切だと考えています。通話がメインであるため、通話の品質が高いことは重要です。 通話の品質は、複数回線同時接続すると品質が落ちるかもしれないという、クラウドPBX側の問題もありますが、

  • 自社ネットワークの帯域
  • 使用している端末のスペック

なども影響があるため、これらを総合的に見る必要があります。

セキュリティ

クラウドPBXはインターネット回線を使用するため、セキュリティ観点も外すことができない観点です。 これはどのSaaSを選択する際でも共通ですが、たとえば、通信が暗号化されているかどうかや、第三者機関の監査が入っているなども考慮する必要があります。

料金

やはりお金は重要です。 組織のお金は有限であるため、クラウドPBXを入れたのにオンプレミスなPBXよりも大きく割高になってしまう場合、導入を断念したり別のサービスを選択する必要がでてきます。 同じことを繰り返しますが、電話がどれだけ業務クリティカルかを含めて検討するのがよいと考えています。

機能の豊富さ

人間は欲深いので、あれもこれも欲しいとなってしまいますが、取捨選択していく必要があります。 個人的には以下のような機能があると高感度が高いと考えています。

  • 0ABJ
    • 03とかの番号を使用したい
  • ボイスワープ
    • fondeskとか導入したくなるときに面倒なので
  • SAML/OIDC
    • よく使うソフトウェアなのでID/Passwordで入るのは億劫
  • ユーザーのグループ/ロール化
    • どの電話番号にアサインするかなどは個人に紐付けるとその人がいなくなったときに回らなくなるのでグループやロールを用意したい
  • プロビジョニング
    • 各ユーザーやグループを個別に作成するのはたいへん
  • 各種SaaSへの連携
    • SlackやZendeskなどにつなげると業務の効率化につながる

機能に関しては青天井であるため、あらためて要件や業務に立ち返り本当に必要なことはなんだったかを確認するとよいと考えています。

サポートの有無

クラウドPBXにしたからといって、導入したらそれで終わりではありません。 もちろん日々さまざまな問題や課題が発生するため、それらを解決するためにサポートの充実度は重要になります。

実際にクラウドPBXを選定してみる

今回は以下の3つのサービスを対象にしてみます。

  1. Dialpad
  2. BIZTEL
  3. Amazon Connect
基準項目 Dialpad BIZTEL Amazon Connect
通話の品質
セキュリティ
料金
機能の豊富さ
サポートの有無

ざっくり、

    • 満たしている
    • おおよそ満たしているまたは懸念点あり
    • 満たしていない

として付けてみました。ここではをみていきます。

これらは2018年または2019年に選定してみたものであり、現在では変わっている可能性があります。

Dialpadの評価の詳細

セキュリティの評価の理由は、サービスのかどうしているデータセンターが国内にない点です。 ほとんどの組織は気にする必要がないかもしれませんが、官公庁など一部の組織では政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針

クラウドサービスに保存される利用者データの可用性の観点から、我が国の法律及び締結された条約が適用される国内データセンタと我が国に裁判管轄権があるクラウドサービスを採用候補とするものとする。

というポリシーを採用しているところがあります。

DialpadはGCPを使用しているので、要望が多いと今後対応されるかもしれません。

BIZTELの評価の詳細

セキュリティの評価の理由は、通話が暗号化されていなかったためです。 ソフトフォンでは音声のやりとりにRTPプロトコルを使用していましたが、この音声が通信路上では暗号がされていませんでした。 SRTPとして通信することを期待していましたが、これでは通信路で通話がダダ漏れです。

これについて先方は、先方のデータセンターに自社でルータ(サーバ)を持ち、自社との間にVPNを貼りつつそこからBIZTEL側につなぐという方法でした。 ラック代など別途追加で料金がかかる上に、クラウドPBXなのにオンプレミスな機器の管理をしないといけず、導入メリットが薄いと感じました。

また、初期費用や月額料金はDialpadに比べると少々割高であると感じてしまいました。 機能に関してはある程度多いのですが、そのための料金がかなり嵩んでしまうと感じでしまいました。

Amazon Connectの評価の詳細

料金の評価の理由はやはり、架電ごとに料金が取られてしまうという部分でしょうか。 もともとはコールセンター向けに用意されているものなのでしかたがないのですが、架電が少ない組織出ない限りは、そこに関しては読めないため従量課金という部分が不安要素となりました。

機能は豊富であるものの、自分でLambdaを書くなど高度な設定は可能ですが、対代表電話などの用途ですともう少し設定しやすい形になっているとよいと感じました。

終わりに

今回は個人的なクラウドPBXの選定基準や実際のその観点でやってみた内容を紹介しました。

インターネット回線を使用するということもあるため、程度組織が大きくなった場合はインターネット回線の回線元自体が異なる提供会社のものでマルチ構成にするというのも必要になってくる可能性があるかもしれません。

ただ、オンプレミスの管理は本当にたいへんですので、現在のSasS時代、得意なことは得意なところにお任かせするというのが本当に必要だった業務に集中できる可能性が高くなるので、クラウドPBXは選択肢として今後スタンダードになってくると思っています。

もしこんな観点もあるよ!などありましたらご教示ください。Twitterなどで議論できればうれしいです。